新月前の細い月
明けの三日月
有明の月
雲に溶けて
明かりに溶けて
見えなくなる前の
ほんのわずかな
夢の続き
始まりの
船の先が
かすかな道標
心に錨を沈めて
小さな決意
【20221120】
月とオリオン座と
見えない無数の星が
夜を渡る
希望と淡い展望と
得体のわからない不安が
私を前へと進める
明ける前の
濃い暗さから遠ざかりたくて
少しでも早くと気持ちがせいて
つんのめって
慌てた私の足が
ようやく歩幅を整える
宙をいく天体は
急ぎも遅れもせず
綺麗に半円を描いていくのに
私は何を急いでる?
私は何を乱れてる?
一定の流れが
私の外と例え一致しなくても
宙が時間をかけて
行くように
私も天体を渡ればよい
流れる
冬の空を行けば良い
【20221114】