雨が上がると
庭が動く
葉に並ぶ雨粒に
空が動く
潤った香りをあげ
地が動く
春時雨に
緑が動く
希望が芽生え
私が動く
【20220518】
誰にでも
涙にくれた夜がある
誰にでも
心の傷を数えた夜がある
誰にでも
闇夜に逃げ込んだ覚えがある
あの時
言葉にならなかった刃が
自分をえぐった
あの時
振り上げた拳を
奴でなく物にぶつけた
あの時
何が悲しくて
涙が出たのかわからない
人はいつも
やり過ごすしかない
人はいつも
知らないふりをするしかない
人はいつも
自分が傷つかない方を歩くしかない
それで
いいんよ
それで
少し顔を上げて
それで それで…
いつか
振り返って
いつか
ちょっぴり恥ずかしくなって
いつか
自分のあの時を
卒業する時が来るからさ
【20230324】
私たち大人は
なんて浅はかなんだろう
小人(こども)はそれを知っていて
無理難題や謎かけを仕掛けてくる
小人(こども)はその小さな体に宇宙を持ち
私たち大人はその宇宙に戸惑う
どんなに優秀なロケットに
乗り込んでも
その空間は
遠く大人には息苦しいところ
小人(こども)は未来に輝くのではない
すでに輝いた光が大人の目に届くのだ
大人は
なんて鈍感なんだろう
私たちもその宇宙を
もっていたのに
まだ宇宙を持つ小人(こども)に触れたくて
干渉する
ただの大きな人になった
消えていった宇宙を映す
小人(こども)の瞳を
じっと見返すのも苦しい
こどもは ただ小さい人
私たち大人と同じ
時間の人
それを知っている大人は
こどもの時
大人の瞳に宇宙を見たはず
時間の人々よ
互いの宇宙を消滅させず
互いの未来を受容しよう
【20210201】