言の葉の舟 四海を行く

家族と自然と人の心を愛する心筆家のブログ

「福は内 鬼も内」

私の内には福がある 私の中には鬼もある 福を育てたいと 明日を望み 鬼が悪さをしないよう 今日を過ごす どちらも 私の中に 生きていて 顔を出したり 引っ込めたり 福がなければ心は砂漠化 鬼がなければ危機感なさすぎ 福だけでも物足りず 鬼だけでも殺伐と…

「しないとね」

休まないと 凹まないと 転げないと 挽回する力も 起き上がる力も 鍛えられないからね 今 しないとね 【20210108】

「足を上げて」

よく積もったな 白い雪 屋根も 庭木にも 門までの飛び石の上にも 遠くに見るには 綺麗な積雪だが 足を取られ くっつき 冷たさが 染みてくる 歩きにくさを感じながら いつもより足を上げて歩いてみた ブタクサ言うな 状況が悪ければ 行動を変えればいい ブツ…

「鎮魂(たましずめ)のカサブランカ」

無関心で無反応でそう在ることに徹する意味がある テレビを遠ざけ目の前のことに夢中になるできないことからは目を逸らす 勝手に無作為に見聞きしないことが今できることなのかもしれない 浮遊させるな増長させられるな怒りや不安を誰かに操られないために …

「光の花」

雪のように儚く 溶けて無くなる命も 泥の中 身動きできず 立ちすくむ命も 美しく懸命に咲く 自分を責めないで 誰も恨まないで 真っ白い光と共に 生まれてきたのだから 【20230125】

「世界の晩餐」

ハンバーグをこねるいつもより丁寧に まとわりつく脂が嫌な感じで手にこびりつく がハンバーグの実像が気持ち悪さをないものにしてくれる 焼き上がった香ばしい香り家族の食卓の真ん中に置かれ空きっ腹を満たす絵が想像できる 同じ空の向こうで起こっている…

「春隣」

年が明け わずかに春の気配漂い あの生温かな空気を 安易に予想できる時節に 季節は大寒 天の移ろいはまだ暦に沿っていて 外は寒中 息は白く凍えて 春待ち遠しと空を見上げても 今日は降り頻る雪に視界を奪われ 一気に遠くなってしまった春を 背中を丸くして…

「は・ず・み」

木の枝がとん と揺れて小鳥が弾んだ もうすぐ春だと木の枝は感づく 私の肩にとん と触れて見えない誰かが合図する そうか今か と私は信じて 小鳥の真似をしてみる とん と小さく 跳ねてみる どん と地面からの衝撃で 体の小さなとこまで弾けた力が行き渡り …

「月のように」

時と宇宙の流れに抱かれて 変化しながら巡りゆく 他の輝きを受けながら 振り向く誰かの瞳に潔さを映す 暗い夜には月明かり 朝の青には暁の月 この月のように在りたいと この歳も憧れと共にめくる暦 充もの 欠けて行くものを重ねて 永遠の輝きの雫を心の手の…

「春の七草 プラス1」

調子を合わせて 大声で 「せり なすな ごぎょう はこべら ほとけのざ すずな すずしろ わぎな 春の八草」 背中で小さくなったランドセルが カタカタ笑い 長く伸びた自分の影を 追いかけて 無邪気に走る 少年たち 青い春の兆し 成長への駆け足 我が子もその中…

「呪文」

意味のわからない言葉ただ ありがとうと聞こえる 知ってる言葉を当てはめるとただ ありがとうと流れる 何度読んでもわからないただ ありがとうが重なる ーとうとうたらり たらりらたらりあがり ららりとう(「翁」より)ー 春々ひらり はなびらめぐりめぐり…

「一年が行く」

桜が咲き 春が燃え 緑が踊り 風がそよぐ 夏は梅雨明けを告げ 陽が燦々と 熱を持ち 陽炎を揺らす 風が月を磨き 錦は色づきを伝え 実りは忘れずにやってきて 豊穣の大地を潤す 雪は積もり 寒さに肩寄せ 人の季節は一巡り 吐息交じりで一年一巡り 別れも悲しみ…

「聖夜の呼吸」

私は生きている小さな営みだけど 生きている 暗い夜のしじまに凍えながら小さく息をはいて 誰にも知られず呼吸する 思い描いたように道が続いていかなくても 抱えきれない寂しさが私を取り込んでしまっても 虚しさが血流と一緒に私の中を巡っても しあわせが…

「鳴き雪の気配」

動かない何も動かない乱れない 澄み渡る天ときめ細やかな雲の平原雪のよう 飛行機からの景色は半分白で半分青どこまでも白く遠い空の大地は 枝一本も落ちておらず獣の足跡一つ見えない遠くに想像してみた枯れ木の大木もすぐにかき消される あなたはどこまで…

「春より早く」

春に命を繋ぐ 冬籠りの季節に 二度と目覚めない 連れ合いを見送る背中 別れは突然で さよならもありがとうも 天に立ち昇る 煙に追いつかず ぽっかり空いた寂しさを 何で埋めればいいかもわからず 涙が雪に変わり 白く降り積もる 春はまだまだ遠いけど もう …

「閉塞成冬(そらさむくふゆとなる)」

冬ざれ 寒さに縮こまる だけどその寒さの中でしか見れない景色がある 心が寒々と風に吹かれても その時にしか聞こえない 心音(こころね)がある 寒空に立ち 凍えそうになっても 勇気のボタンを締め 希望の襟を立て 瞳の中に 輝きを閉じ込める 見たい景色と …

「母のコート」

木枯らしの足音が 聞こえる季節 いつも手に取る古いコート 父が母に残した冬の思い出 時代の匂いや 苦労が染みついた繊維 陰陽の日々が語る色の抜けた黒 それでも手触りは滑らかで 初めて手にした母の喜びは 内ポケットの中に潜んでいるみたい 柔らかい生地…

「庭に咲く白い花」

太陽の光が強く届く 美しい海は友であり 風が懐かしい思い出を運ぶ そんな南の島で 余生を生きるおじい 子にとってそこは帰る所で 孫にとっては訪れる場所 男三世代 生活の密度の差は広がり 時間の流れる速さや 愛情の方向も違い まるでかみ合わない違う世界…

「塗香の羽衣」

気高い祈り 叶わないかも 届かないかも それでも あなたのために 誰かのために 今 心を添えて 今 手を合わす できる私も できない私も いるけれど 捉われの縄をほどき 塗香の香りに 包まれて 天女の羽衣を纏い 祈りの雲に乗り 心のままに思いのままに 【2022…

「明日の明日のために」

希望だけの明日だけじゃない明日なんて来なけりゃいいのに…と それでも太陽が昇るように川が流れるように明日はやってくる 気休めでもいい目を閉じて心を閉じて 騒つく映像を消して 明日の明日を見つめよう 【20221128】

「夜明けの色 朝の色」

夜明け 藍色の夜の濃さが 光に薄まっていく 数分間で変化する 空の色 色を重ね変化することは ある意味 難しくはない 色を薄めながら 光に近づいていく この時間は 計り知れない力が 空を押し上げ 朝の色を散りばめる 夜明け前の変化に 追いつきたい私がいる…

「妹背の滝で」

水鞠が 跳ねて乱れて 集まりて 錦の鏡 妹背の秋に 日々弾け 納まりてまた 動き出す 休息の午後 妹背の滝で 【20221123】

「高嶺」

雲の上に 白く盛られた 富士の頂 水平に広げられた 薄雲を従え 氷河のような 厚雲に守られて 空とも海ともわからない 青にぽっかり浮かぶ 稜線が白く浮き上がり 険しさを流し サラ砂をゆっくりと降らしたような 細やかな白肌 そこには どう行けばよいですか…

「十五歳 生きる意味」

死にたいと 生きている意味がわからないと 私は 烈火の如く怒る 鬼にもなれず 全てを受け入れる 仏にもなれず 呆然とする ただの人でしかなかった 突き動かす 北風にもなれず 全てを包み込む 太陽にもなれず 動けないでいる ただの人でしかなかった 生きてい…

「星か涙か」

昨夜見た 空の悲しみは 私の悲しみなのか ならば 私の中にも あの星たちのように 煌めくカケラが あるのだろうか 夜が泣き 星が溢れ 私が泣き 涙が流れる 悲しみの空には 夜のしじまで冷たく凍り 頬の雫と 空の雫と 見分けがつかず 瞬く 【20221118】

「錨」

新月前の細い月 明けの三日月有明の月 雲に溶けて明かりに溶けて見えなくなる前の ほんのわずかな 夢の続き 始まりの 船の先が かすかな道標 心に錨を沈めて 小さな決意 【20221120】

「点と線」

結果を求めすぎて それもプラスの結果を求めすぎて 私たちは動けなくなったり 本来の姿を見失ったりする そんな自分の状況さえも わからなくなるほど 迷走している時間が長くなると うまくいかないことは 伝染する様に大きくなって行く 点と点と点が ずっと…

「宙(そら)を渡る」

月とオリオン座と 見えない無数の星が 夜を渡る 希望と淡い展望と 得体のわからない不安が 私を前へと進める 明ける前の 濃い暗さから遠ざかりたくて 少しでも早くと気持ちがせいて つんのめって 慌てた私の足が ようやく歩幅を整える 宙をいく天体は 急ぎも…

「月の顔」

赤銅色の満月を 見上げた昨日が 遥か時間の彼方に感じ 今朝見た ほてっとした黄みの満月が 同じものとは思えない 見えるものは 私の心が見ているもの 見えているのは 私の見方で映るもの 追いかければ それは熱を帯びた月になり 迎え入れれば それは静かな朝…

「ころ柿」

頂いた ころ柿 日和の 縁側に 吊した 夕陽色 眩しく 並んで 隣人の 丁寧な 仕事が 繋がる 渋さを 和らげ 甘さを 染ませ 五感で 味わい 喜びで 満ちる ころ柿 食べ頃 こころ 楽しむ 【20221106】