言の葉の舟 四海を行く

家族と自然と人の心を愛する心筆家のブログ

「見えないもの」

傍から見て もったいないと思うほどのものを 手放した友人がいたら 残念に思わずに おめでとうと言おう きっと 何よりも守りたい 大切なものを 手に入れた証だから 【20221004】

「風見鶏の憂鬱」

空は果て無く遠く 風に煽られ 足元を引きずり 行き当たりばったりのこの一歩 見上げれば 悠々と留まる屋根の上 無い物ねだりの 薄っぺらな憂鬱を 一時 風見鶏に預けて また一歩 空に近く 風を読む 広く見渡し 指し示す ただ 飛んでは行けぬ 風見鶏 気づけ旅…

「縁が和家の庭で」

どこにいても 私は私 髪をとき 仕事をし 食事を作り 空を見上げ 花を覗き 言葉を並べる 語り笑い どこにいても私は私 それは 私の真ん中が いつも この庭にあるから ここがあるから どこにいても 私は私で在る 【20221003】

「教えて、ゴーヤ先生」

先生 教えてくださいな 夏が過ぎ 秋になり ツルの巻き方や 実りの遺伝子も 全部全部伝えただろうに さらに花をつけ ツルを巻き 先へ先へと進んでいく 先に咲いた花は萎れ 先に巻いたツルは乾き それでも 更に伸びるのは 何故ですか? 【20221002】

「触れられないもの」

天 感じるもの 人 慮るもの 命 愛するもの 手に触れることができないものは 心が 下支えする 【20221002】

「花鳥風月」

花を嗅ぎ 草を踏み 樹に登れ 鳥と歌い 欲望の翼を広げ 夢を啄め 風を切り 雨に涙し 水たまりにはまれ 月の満ち欠けにとらわれず 自分の足跡を星座に結び 夜を恐れず行け 赴くままに 自らが 然り 行く時 己以外の 力の大きさと 愛の深さと 希望の温かさの 傘…

「収まりきらない」

何でも 自分の中に取り込もうとする 手に入れて 大きくなった気がするけど 到底 収まりきらない 果てしなく偉大なものに 圧倒された時 本当に 大きくなれるのだと思う 【20220930】

「実り」

実が色づき始めると 葉が落ちる 自然の愛情の 深さと潔さを知る 【20200930】

「母の愛は 地球の青さ」

美しい涙を見た この南の島の 海の青に似た澄んだ涙 哀しみ憂い懐かしさ 海は人々の流した涙が とうとうと満ちたのかもしれない だからこんなに美しく 地球を包む 美しい涙を浮かべた この南の島の 空の青を湛えて澄んだ瞳 優しさ 抱擁 思い出 空は人々が映…

「窓」

家の窓から わずかに色づく庭を見る 庭に出て 色づいた木々の窓から 門を叩く色のない風を見る 寂しさや侘しさが 木々の色づきを引き立て 縁側で 季節がいそいそと 移ろい行くのを愉しむ 自然に向かう 私の窓を開け 今朝も 風を呼び込む 【20220912】

「花と禅問答」

昨日まで なかった花が 庭に咲く 驚きと なんとも言えない喜びで 声が出る 弾む自分の空気が おさまるにつれて 今度は疑問が その空気を膨らませる 昨日も 見ていたはずなのに 見落としていたのか その兆しにも 気づかなかったのか 子どもの成長も それと同…

「秋の魔法」

庭の草木 秋の魔法で 虫食い葉 レースみたいに 光の刺繍 茶色く縁取り 美しく織られて はらはら落ちて 魔法の絨毯 冬支度の ちちんぷいぷい 【20190930】

「私のための」

もしも あなたを 傷つけているなら 同じように 私自身も傷つけて 傷ついてるから こんなにも 心が痛む 自分を癒すための 私のための あなたへの優しさじゃ ダメなのかなぁ 【20220911】

「父は空」

日曜日の夕暮れ 廊下の奥まで届くオレンジ色の光 笑い声をのせて 靴を磨きながらの親子の睦ましい時間 父と娘の日常は こんな風景ばかりじゃない 言い争いも 冷戦も 父の雷も 娘の涙も 反抗も 目まぐるしい それでも父の存在は 空のように 娘の遠景にある 朝…

「こころ座る場所」

都大路を外れた古寺 古の人の息遣い 庭の木々を 手入れの行き届いた 長い廊下に映し 輝くばかりの 緑を浸ませ 空と雲の上に 緑を載せる 衣擦れの音が 板間に佇み 細い会話が 畳に織られる 世情が違い 手に取るものは かけ離れているはずなのに 求めるものの…

「満ちる時間」

茹だるような暑さを 思い出すこともできないくらいに この金色の風に 撫でられて 朝に白露が輝く 夕に空を見上げると ちょうど中秋に 満ちる月 あと僅かな膨らみを 少しずつ空に集めて 満月になる 白露が その足りない場所に 舞い上がり あと二日重なり 空の…

「橋を架ける」

桜の花が咲き誇り 新しい生活に 希望の色を散りばめる 一人その姿を見送る側は なんだか遠くのことのように 世界を分けられた気がする 勝手に流れる涙を 拭うこともせず 口角だけを少し上げてみる 「でっかい船が浮かんだり、 飛行機が飛んだり、 長い橋を架…

「穂並に秋の風」

穂並に涼しい風が渡り 実りの秋に季節は移り 七十二候 禾乃登(こくものすなわちみのる) 人の心の機微を感じたくて 息づく自然を近くに感じたくて 言葉を一つ一つ紡ぐ 黄金の一粒一粒が豊かに頭を垂れ 収穫されるよう 言の葉がつながり 流れる一編をしたた…

「半分こ」

おせんべいを半分こ クッキーも半分こ 空の月は 誰と半分こ? 地球と空と半分こ 【20210915】

「朝の空に、夜の空に、あなたの空に」

朝の空に 五線譜引いて 雲の音符を並べてみると 小鳥の声も リズムとり 足取り軽く あなたの背中を押すから 上を向いて 鼻歌まじりで 今日を始めよう 夜の空に 五線譜引いて 星の音符を並べてみたら ちかちか光りが 優しくて 今日のあなたの 肩を撫で ちょっ…

「吾亦紅」

ここにいる 見えていますかと 背中に聞く 語りかける桔梗のように しとやかな声を出す勇気もなく 可憐に微笑む秋桜のように 距離を縮められるわけでもなく 季節にたなびくススキのように 心を揺さぶる風も吹かせない 過ぎゆく秋に わずかに赤く萌え ただ 見…

「さっきまでの私」

時計の針が12を追い越す さっきまでの今日が 昨日になって さっきまでの明日が 今日になり 日めくりが数字を新しくする けど 私はまったく新しくならないし さっきまでの私の続き さっきまでの私が ひとっ飛びにハードルを超えはしない 昨日の続きが今日に…

「心の消しゴム」

許してあげようよ あの怒りも 許してあげようよ あの涙も そして 許してあげようよ そうできなかった わたし自身も 【20210818】

「気流に乗る」

あなたは 今 羽ばたきたい? わたしは そうでもないよ 気流に 乗っていたい そんな気分 【20211004】

「その果てに」

桜は 風に誘われて 花びらになって 土に重なり合って また 花を咲かせる 私は 波にさらわれて 島を巡り巡って 航海の水脈を消し去って やがて 私へと辿り着く 【20220408】

「距離」

穏やかな空間にいて そちらと こちらと 同じ静かな時間が 流れているだけなのに こちらは 寂しい感情がただよい 涙が溢れそうになる そちらは そちらで 違う言葉で感情を操り 一緒にいる今のこの空間が 意味のないように思えてくる 音にしたって 文字にした…

「薄衣(うすごろも)」

ちよちよ 春先の まだ 生まれたての小鳥 調子外れで 勝手気まま ほぎゃほぎゃ 家の外までひびく赤児の 鼻先にかけ 母を呼ぶ声 新しい命は いつもこの世で 一番無防備で 柔らかくも怖いもの知らず 目の前で 拳を太ももの上で握りしめて 声にならない泣き声を …

「夏の桜」

黄昏の桜の木に 燃えるような夕焼け雲の花が咲いた 夏の終わりのこと 秋には 葉の錦が歓びを咲かせ 冬には 春への希望を咲かせ 満開の花びらが 応えるように春に咲く 町を見下ろす高台の 変わらないこの場所で 時を越えて場所を越えて 記憶までも追い越して …

「琥珀色に沈めて」

夢を見る 同じような夢 何度も見る 心の揺れを言葉にできず 無言でやり過ごし 殻に閉じこもり 自分を守る言い訳ばかり揃えて 相手の傷に 想いを馳せることもできなかった 未熟だった私が 力なく立ちすくむ 夢の中でも まだ ごめんねが言えず 今日もその手を…

「星降る夕立」

ひどく降った 夕立の後に 遅れて届いた日の光が 飴色の空を広げる グラウンドの水たまりは空を映し 不思議な空間をつくる 覗き込んだら 私の曇り空も あんなに綺麗に 映してくれるかな 雨に打たれて 何もかも叩き落とされ ただ一つ残った ごめんねのつぶやき…