言の葉の舟 四海を行く

家族と自然と人の心を愛する心筆家のブログ詩集

2023-05-01から1ヶ月間の記事一覧

「天空をとび超えて」

並ぶ星のように ぴったりとその心に寄り添いたいけど 隣の心が 見た目よりずっとずっと遠くにある いつか届くかな…誰かの心が届くかな… 思春期の 心にロケット 飛ばせたい 【20230523】

「鏡を見つめて」

二つの鏡を持つ 一つは今を見る鏡 一つは未来を見る鏡 今を見る鏡は 曇らせてはいけない しっかり自分の今を見つめ 誤魔化すことなく 自らの語りに頷く そして 未来を見つめる鏡は 自分の顔の横に立てる 何がうつっているかはわからないが 鏡を磨き上げ 明日…

「本棚の中身」

そこには なりたかった未来と憧れた誰かが 背表紙をこちらに向けて道標を示す そこには 諦めて行かなかった先の風景が残る 手放したはずの道の上に 今の自分が立ち続けている不思議 そこには 求め続けた母親像が並ぶ 母心のものさしを探し求め いつしか私自…

「春より早く」◇中国新聞 詩壇 掲載◇

春に命を繋ぐ 冬籠りの季節に 二度と目覚めない 連れ合いを見送る義母(はは)の姿 別れは突然で さよならもありがとうも 天に立ち昇る煙に追いつかず ぽっかり空いた寂しさを 何で埋めればいいかもわからず 涙が雪に変わり 思い出の上に白く降り積もる 春は…

「そこにある」

今に打ち込めるものがあれば 脇目も振らずに 今でなく 未来を見たい者は 明日を臨み 過去に浸り 英気を養う者は 心を休める どんな心持ちでも 今を生きたいと願う想いが そこにはある 底にはある 誰も逃げてはいない 誰も諦めていない そこに居て 今の想いに…

「朝の準備」

どこからか ピアノの調べ 家を出るまでの 慌ただしさが 嘘のように静まる 心ごと傾けると 鳥の声も鮮やかに聞こえ 水の流れも際立って聞こえる 誰かに聴かせるためでもなく その人にとっては 朝の日課の一つに過ぎない 気づかずに通り過ぎる 流れる音や色 受…

「涙のわけ」

悲しい… わけじゃない 寂しい… わけじゃない ただ こうして あなたを想う時間の中に いたいだけ 【20200220】