言の葉の舟 四海を行く

家族と自然と人の心を愛する心筆家のブログ

『情熱に座り直して』

「は・ず・み」

木の枝がとん と揺れて小鳥が弾んだ もうすぐ春だと木の枝は感づく 私の肩にとん と触れて見えない誰かが合図する そうか今か と私は信じて 小鳥の真似をしてみる とん と小さく 跳ねてみる どん と地面からの衝撃で 体の小さなとこまで弾けた力が行き渡り …

「月のように」

時と宇宙の流れに抱かれて 変化しながら巡りゆく 他の輝きを受けながら 振り向く誰かの瞳に潔さを映す 暗い夜には月明かり 朝の青には暁の月 この月のように在りたいと この歳も憧れと共にめくる暦 充もの 欠けて行くものを重ねて 永遠の輝きの雫を心の手の…

「聖夜の呼吸」

私は生きている小さな営みだけど 生きている 暗い夜のしじまに凍えながら小さく息をはいて 誰にも知られず呼吸する 思い描いたように道が続いていかなくても 抱えきれない寂しさが私を取り込んでしまっても 虚しさが血流と一緒に私の中を巡っても しあわせが…

「塗香の羽衣」

気高い祈り 叶わないかも 届かないかも それでも あなたのために 誰かのために 今 心を添えて 今 手を合わす できる私も できない私も いるけれど 捉われの縄をほどき 塗香の香りに 包まれて 天女の羽衣を纏い 祈りの雲に乗り 心のままに思いのままに 【2022…

「高嶺」

雲の上に 白く盛られた 富士の頂 水平に広げられた 薄雲を従え 氷河のような 厚雲に守られて 空とも海ともわからない 青にぽっかり浮かぶ 稜線が白く浮き上がり 険しさを流し サラ砂をゆっくりと降らしたような 細やかな白肌 そこには どう行けばよいですか…

「宙(そら)を渡る」

月とオリオン座と 見えない無数の星が 夜を渡る 希望と淡い展望と 得体のわからない不安が 私を前へと進める 明ける前の 濃い暗さから遠ざかりたくて 少しでも早くと気持ちがせいて つんのめって 慌てた私の足が ようやく歩幅を整える 宙をいく天体は 急ぎも…

「花を咲かせて」

私は野の草だった 花を咲かせるのかも 咲かせないのかも わからない ただ 咲きたいと思う 野の草だった なんの花でもよかった 咲きたいと願った ある日 一人の詩人が 私を 詩の花壇に植え替えた そこは言葉の土壌がふかふかで 雨や雷さえも心地よい 燦々と …

「朝の空に、夜の空に、あなたの空に」

朝の空に 五線譜引いて 雲の音符を並べてみると 小鳥の声も リズムとり 足取り軽く あなたの背中を押すから 上を向いて 鼻歌まじりで 今日を始めよう 夜の空に 五線譜引いて 星の音符を並べてみたら ちかちか光りが 優しくて 今日のあなたの 肩を撫で ちょっ…

「さっきまでの私」

時計の針が12を追い越す さっきまでの今日が 昨日になって さっきまでの明日が 今日になり 日めくりが数字を新しくする けど 私はまったく新しくならないし さっきまでの私の続き さっきまでの私が ひとっ飛びにハードルを超えはしない 昨日の続きが今日に…

「星降る夕立」

ひどく降った 夕立の後に 遅れて届いた日の光が 飴色の空を広げる グラウンドの水たまりは空を映し 不思議な空間をつくる 覗き込んだら 私の曇り空も あんなに綺麗に 映してくれるかな 雨に打たれて 何もかも叩き落とされ ただ一つ残った ごめんねのつぶやき…

「詩人の生家-見える景色と見る景色」

たいした悩みは無い 躓くことも立ち上がることも 案外平気 ただこの道の先に 心震える景色があるか 見定めたくなる 詩人 永瀬清子の生家を訪れた ひんやりとした釜屋では 薪をくめ 水をくみ 木綿の擦れる 古き生活の音を想像する 心の温度が波長を合わせて静…

「土用干し」

白白と明けるころ 目が覚めて 縁側の朝戸風に 梅を干す 夫と挨拶し合い また微睡む 日差しが入り 起き上がり 昨夜の残り物で 一食目を済ませ のろのろと洗濯を外に出す 日盛り ごろごろとまた夢に浸り よく寝るなと 目線の高さが同じあなた 風に吹かれて 光…

「植え替え」

土が変わり 場所が変わり 根を張る広さと 光の具合が違えば まだまだ 咲けるのかもしれない 咲かせたい 咲きたい 自分の足元から 力を吸い上げ 咲け 【20210708】

「女優になる」

歳を重ねて 女優になる 空覚えの穏やかな言葉を 一つ一つ並べ 慈しみの視線を はるか遠くに向ける バラードを歌うように大きくゆっくりと 優雅な仕草でふるまう 素の私では叶わないけれど 何もかも台本通りに 他人にも自分にも吐き捨てた とがった言葉は 忘…

「大地と空と私」

目の前の景色は 一瞬で 私の夏になった 圧倒的な存在感 阿蘇 古の地球の躍動 阿蘇 緩やかに連なる緑の曲線と 所どころ鋭く走る稜線は 雲のベールでより神秘的に 空は 荘厳な大地の生き様に ひれ伏すように山々を覆う ぐるりと360度見渡す私の中に 大地と空が…