言の葉の舟 四海を行く

家族と自然と人の心を愛する心筆家のブログ

『縁が和家の庭で』

「は・ず・み」

木の枝がとん と揺れて小鳥が弾んだ もうすぐ春だと木の枝は感づく 私の肩にとん と触れて見えない誰かが合図する そうか今か と私は信じて 小鳥の真似をしてみる とん と小さく 跳ねてみる どん と地面からの衝撃で 体の小さなとこまで弾けた力が行き渡り …

「月のように」

時と宇宙の流れに抱かれて 変化しながら巡りゆく 他の輝きを受けながら 振り向く誰かの瞳に潔さを映す 暗い夜には月明かり 朝の青には暁の月 この月のように在りたいと この歳も憧れと共にめくる暦 充もの 欠けて行くものを重ねて 永遠の輝きの雫を心の手の…

「庭に咲く白い花」

太陽の光が強く届く 美しい海は友であり 風が懐かしい思い出を運ぶ そんな南の島で 余生を生きるおじい 子にとってそこは帰る所で 孫にとっては訪れる場所 男三世代 生活の密度の差は広がり 時間の流れる速さや 愛情の方向も違い まるでかみ合わない違う世界…

「夜明けの色 朝の色」

夜明け 藍色の夜の濃さが 光に薄まっていく 数分間で変化する 空の色 色を重ね変化することは ある意味 難しくはない 色を薄めながら 光に近づいていく この時間は 計り知れない力が 空を押し上げ 朝の色を散りばめる 夜明け前の変化に 追いつきたい私がいる…

「星か涙か」

昨夜見た 空の悲しみは 私の悲しみなのか ならば 私の中にも あの星たちのように 煌めくカケラが あるのだろうか 夜が泣き 星が溢れ 私が泣き 涙が流れる 悲しみの空には 夜のしじまで冷たく凍り 頬の雫と 空の雫と 見分けがつかず 瞬く 【20221118】

「ころ柿」

頂いた ころ柿 日和の 縁側に 吊した 夕陽色 眩しく 並んで 隣人の 丁寧な 仕事が 繋がる 渋さを 和らげ 甘さを 染ませ 五感で 味わい 喜びで 満ちる ころ柿 食べ頃 こころ 楽しむ 【20221106】

「静かな時間」

街の音がない 朝の時間 いってらっしゃいの言葉で送り 空を見上げる 明け出る 光の兆し 裏山の巣から 囀りの響き どこからか漂う わずかな金木犀の残り香 見えないけれど そこにある新月 見えない物から発する 透き通る気配が 攪拌されている私の中の 濁った…

「証」

秋の扉が開き 木々が錦を飾り 山が賑わう朝 今年も 土に 白い椿 一輪 同じ季節に 一人灯火を消した友の面影を 鮮明に映す汚れなき白 早すぎるその時は 名残惜しそうに まだ瑞々しい白 この世の役目を終え 一息ついた様にも見え 魂のままになった透き通る白 …

「縁が和家の庭で」

どこにいても 私は私 髪をとき 仕事をし 食事を作り 空を見上げ 花を覗き 言葉を並べる 語り笑い どこにいても私は私 それは 私の真ん中が いつも この庭にあるから ここがあるから どこにいても 私は私で在る 【20221003】

「教えて、ゴーヤ先生」

先生 教えてくださいな 夏が過ぎ 秋になり ツルの巻き方や 実りの遺伝子も 全部全部伝えただろうに さらに花をつけ ツルを巻き 先へ先へと進んでいく 根元に咲いた花は萎れ 土に近く巻いたツルは乾き それでも 更に伸びるのは 何故ですか? 【20221002】

「秋の魔法」

庭の草木 秋の魔法で 虫食い葉 レースみたいに 光の刺繍 茶色く縁取り 美しく織られて はらはら落ちて 魔法の絨毯 冬支度の ちちんぷいぷい 【20190930】

「夏の雪」

季節が巡る この庭で 空を追い 雲に流れて 思いを掴み直す 蒸し返す空の中 暑い盛りを気にもせず 涼やかに白く咲く 百日咲く夏の花 処暑を越えて 名も知らぬ雲の下で ふわりと花弁を散らし 夏の雪 いずれ 天を衝く青空に秋風渡り 花弁を舞い上げ 遠くの月 冷…

「柿の木の日常」

一歩も動かない柿の木に 苔がむす 緑の模様を自由にまとわせ 木肌の割れ目の小さな蟻には 仕事場を与え 蜘蛛には 枝から枝へと間借りさせ 日陰を作った下草には 蝉の抜け殻 静かに眠らせる いろんな命に触れて いろんな命を支えて 黙って 黙って そこに立つ …