ブログ詩集
並ぶ星のように ぴったりとその心に寄り添いたいけど 隣の心が 見た目よりずっとずっと遠くにある いつか届くかな…誰かの心が届くかな… 思春期の 心にロケット 飛ばせたい 【20230523】
二つの鏡を持つ 一つは今を見る鏡 一つは未来を見る鏡 今を見る鏡は 曇らせてはいけない しっかり自分の今を見つめ 誤魔化すことなく 自らの語りに頷く そして 未来を見つめる鏡は 自分の顔の横に立てる 何がうつっているかはわからないが 鏡を磨き上げ 明日…
そこには なりたかった未来と憧れた誰かが 背表紙をこちらに向けて道標を示す そこには 諦めて行かなかった先の風景が残る 手放したはずの道の上に 今の自分が立ち続けている不思議 そこには 求め続けた母親像が並ぶ 母心のものさしを探し求め いつしか私自…
春に命を繋ぐ 冬籠りの季節に 二度と目覚めない 連れ合いを見送る義母(はは)の姿 別れは突然で さよならもありがとうも 天に立ち昇る煙に追いつかず ぽっかり空いた寂しさを 何で埋めればいいかもわからず 涙が雪に変わり 思い出の上に白く降り積もる 春は…
今に打ち込めるものがあれば 脇目も振らずに 今でなく 未来を見たい者は 明日を臨み 過去に浸り 英気を養う者は 心を休める どんな心持ちでも 今を生きたいと願う想いが そこにはある 底にはある 誰も逃げてはいない 誰も諦めていない そこに居て 今の想いに…
どこからか ピアノの調べ 家を出るまでの 慌ただしさが 嘘のように静まる 心ごと傾けると 鳥の声も鮮やかに聞こえ 水の流れも際立って聞こえる 誰かに聴かせるためでもなく その人にとっては 朝の日課の一つに過ぎない 気づかずに通り過ぎる 流れる音や色 受…
悲しい… わけじゃない 寂しい… わけじゃない ただ こうして あなたを想う時間の中に いたいだけ 【20200220】
雨が上がると 庭が動く 葉に並ぶ雨粒に 空が動く 潤った香りをあげ 地が動く 春時雨に 緑が動く 希望が芽生え 私が動く 【20220518】
桜が歌い 桜が舞い 心に淡く 次の春への希望となる 見上げていた 薄桃色が 周りの木々の緑に溶け込むころ 庭で 足元の小さな花々が 歌い出す 土の近くで 首を伸ばし 精一杯に 光を受けとり じっと動かず 萌えて私に 希望の種を 一つ落とす 【20230403】
おはようと声かけあう 家族の調子はいつも通り 水道の蛇口からは 透明の水が勢いよく出て ガスも電気も パチンという音で温かい バスもブォーんと 少し重そうなエンジン音 仕事は昨日の続き隣の席の人は変わらない書類のめくる音は乾いてる だけど 朝… よい…
桜が春に 私たちを招き入れる 待たせたねーと 春に招き入れる 春爛漫 桜爛漫 花びらの渦が 春の渦を起こす 心踊る束の間の はる さくら やがて 風を起こして 花びらをはらはらと 名残惜しそうに 見上げる私たちに 初夏の魔法をかける 散る花びらも 眩しい葉…
誰にでも 涙にくれた夜がある 誰にでも 心の傷を数えた夜がある 誰にでも 闇夜に逃げ込んだ覚えがある あの時 言葉にならなかった刃が 自分をえぐった あの時 振り上げた拳を 奴でなく物にぶつけた あの時 何が悲しくて 涙が出たのかわからない 人はいつも …
私たち大人は なんて浅はかなんだろう 小人(こども)はそれを知っていて 無理難題や謎かけを仕掛けてくる 小人(こども)はその小さな体に宇宙を持ち 私たち大人はその宇宙に戸惑う どんなに優秀なロケットに 乗り込んでも その空間は 遠く大人には息苦しい…
生きた分だけ 悲しみは深くなる 生きた分だけ 喜びは多くなる それは 私が一人ではないということ 別れへの恐れや不安も また同じ あなたの涙の訳は 「ひとりじやなかった」という証 【20220306】
「母の日って お母さんに感謝する日なん?」 背中で聞く 幼かった息子の疑問 少し答えを探して 「そうだね… 感謝してほしいとは思わないけど ありがとうって言われると嬉しいかな 」 視線を向けると 私を見上げる真っすぐな目 「でもね 母さん 母さんは 僕ら…
伝えたい 想いや景色 言葉を選び 言葉を置き換える どこまで表現すればよいのか 分からなくなり また元に戻したり… ほんとのところは 私の言葉では伝えられない 受け取って 感じた先に あなたの言葉になる だから 未完成でも言葉を並べる あなたの心の先に …
0歳 永遠の命を無くした 8歳 父を亡くした 18 歳 夢を無くした 28 歳 私を忘れた 38 歳 私らしさを失った 48 歳 自信を無くした まだまだ無くしたものは わずか 58 歳 思い描く未来を無くすかも 68 歳 自由を無くすかも 78 歳 してあげたい気持ちを無くすか…
一人になりたい時もある 一人ぼっちになっちゃう事もある きれいな空が やけに心に刺さり 感傷に耽る時がある そんな思春期の心を 一人にさせたくない時がある 電柱にでも 塀にでも 梅の木にでも なって 揺らぐ心の隅っこに ちらちら映る 風景でいたい あな…
自分の中に 残酷さを見ることがある 自分の発想に 疑問を持つことがある 今朝のこと 庭に立つ私 枯れ木に朝の雪が積もり まるで花をつけているよう 私はそれを見て 雪の花と言葉にした 可愛らしくこんもり咲いて そこに少し春を色づけた と 同時に 自然を見…
私の内には福がある 私の中には鬼もある 福を育てたいと 明日を望み 鬼が悪さをしないよう 今日を過ごす どちらも 私の中に 生きていて 顔を出したり 引っ込めたり 福がなければ心は砂漠化 鬼がなければ危機感なさすぎ 福だけでも物足りず 鬼だけでも殺伐と…
休まないと 凹まないと 転げないと 挽回する力も 起き上がる力も 鍛えられないからね 今 しないとね 【20210108】
よく積もったな 白い雪 屋根も 庭木にも 門までの飛び石の上にも 遠くに見るには 綺麗な積雪だが 足を取られ くっつき 冷たさが 染みてくる 歩きにくさを感じながら いつもより足を上げて歩いてみた ブツクサ言うな 状況が悪ければ 行動を変えればいい ブツ…
無関心で無反応でそう在ることに徹する意味がある テレビを遠ざけ目の前のことに夢中になるできないことからは目を逸らす 勝手に無作為に見聞きしないことが今できることなのかもしれない 浮遊させるな増長させられるな怒りや不安を誰かに操られないために …
雪のように儚く 溶けて無くなる命も 泥の中 身動きできず 立ちすくむ命も 美しく懸命に咲く 自分を責めないで 誰も恨まないで 真っ白い光と共に 生まれてきたのだから 【20230125】
ハンバーグをこねるいつもより丁寧に まとわりつく脂が嫌な感じで手にこびりつく がハンバーグの実像が気持ち悪さをないものにしてくれる 焼き上がった香ばしい香り家族の食卓の真ん中に置かれ空きっ腹を満たす絵が想像できる 同じ空の向こうで起こっている…
年が明け わずかに春の気配漂い あの生温かな空気を 安易に予想できる時節に 季節は大寒 天の移ろいはまだ暦に沿っていて 外は寒中 息は白く凍えて 春待ち遠しと空を見上げても 今日は降り頻る雪に視界を奪われ 一気に遠くなってしまった春を 背中を丸くして…
木の枝がとん と揺れて小鳥が弾んだ もうすぐ春だと木の枝は感づく 私の肩にとん と触れて見えない誰かが合図する そうか今か と私は信じて 小鳥の真似をしてみる とん と小さく 跳ねてみる どん と地面からの衝撃で 体の小さなとこまで弾けた力が行き渡り …
時と宇宙の流れに抱かれて 変化しながら巡りゆく 他の輝きを受けながら 振り向く誰かの瞳に潔さを映す 暗い夜には月明かり 朝の青には暁の月 この月のように在りたいと この歳も憧れと共にめくる暦 充もの 欠けて行くものを重ねて 永遠の輝きの雫を心の手の…
調子を合わせて 大声で 「せり なすな ごぎょう はこべら ほとけのざ すずな すずしろ わぎな 春の八草」 背中で小さくなったランドセルが カタカタ笑い 長く伸びた自分の影を 追いかけて 無邪気に走る 少年たち 青い春の兆し 成長への駆け足 我が子もその中…
桜が咲き 春が燃え 緑が踊り 風がそよぐ 夏は梅雨明けを告げ 陽が燦々と 熱を持ち 陽炎を揺らす 風が月を磨き 錦は色づきを伝え 実りは忘れずにやってきて 豊穣の大地を潤す 雪は積もり 寒さに肩寄せ 人の季節は一巡り 吐息交じりで一年一巡り 別れも悲しみ…