言の葉の舟 四海を行く

家族と自然と人の心を愛する心筆家のブログ

「夏の桜」

黄昏の桜の木に 燃えるような夕焼け雲の花が咲いた 夏の終わりのこと 秋には 葉の錦が歓びを咲かせ 冬には 春への希望を咲かせ 満開の花びらが 応えるように春に咲く 町を見下ろす高台の 変わらないこの場所で 時を越えて場所を越えて 記憶までも追い越して …

「夏の夜」

むんと熱気を残して 山に傾いていく灼熱の太陽 今日を力の限り燃やす 急げば …かもしれないし 速めれば …かもしれないし それとは一線を画し 渦巻いた線の縁(ふち)から じわりじわりと燃え進む 蚊遣り火は 空気が伝わるように じんわりと交わり 小さな面に…

「光彩陸離」

青空の陽の光 木々のきらめき まぶしい季節の中に 夏ゆく あなたもゆく 高みの峰に その背中を見送る 母の眼差し 小さな子どもでもないのに 見失いそうになる 陸離たる 夏が あなたが まぶしすぎて 【20220816】

「柿の木の日常」

一歩も動かない柿の木に 苔がむす 緑の模様を自由にまとわせ 木肌の割れ目の小さな蟻には 仕事場を与え 蜘蛛には 枝から枝へと間借りさせ 日陰を作った下草には 蝉の抜け殻 静かに眠らせる いろんな命に触れて いろんな命を支えて 黙って 黙って そこに立つ …

「際立ちて」

光の粒に洗われて より色鮮やかな百日紅 土の熱さに照らされて 一筋揺れる蜘蛛の糸 青天を味方に 際立ちて夏 七十二候 土潤溽暑(つちうるおうてむしあつし)を 迎える 【20220728】

「土用干し」

白白と明けるころ 目が覚めて 縁側の朝戸風に 梅を干す 夫と挨拶し合い また微睡む 日差しが入り 起き上がり 昨夜の残り物で 一食目を済ませ のろのろと洗濯を外に出す 日盛り ごろごろとまた夢に浸り よく寝るなと 目線の高さが同じあなた 風に吹かれて 光…

「夏のお昼ごはん」

ギラギラおてんとさんに さんさんひかりを分けてもらった ピッカピカの夏野菜を タラタラ汗のあなたが収穫 ザッブザブ洗って フライパンに放り込めば 相性のよい油が パチパチと拍手で迎えてくれる シャカシャカ混ぜた甘酢に ダイブさせたら さっぱり味がし…

「鳴かず飛ばず」

青く 青く 夏ドーム 刹那に 刹那に 蝉時雨 共鳴し 共鳴し 耳鳴りに似た 輝きの乱反射が 白く 白く めまいを誘う 命短し 煌めきの朝 私は今日も 鳴かずにいる 飛ぶのはいつだ 【20210720】

「今日の夏色」

青空に立ち上る 真っ白な雲の峰 金色の太陽を受け 熱く咲く黄色の向日葵 鮮やかに緑で 思い出した様に吹く風に 流れを合わせる稲の群れ 笑顔と同じ スイカ色 玉のように流れる汗を滑らす 小麦色に焼けた肌 絵日記に残したような 夏の色彩が 事実であったか …

「大地と空と私」

目の前の景色は 一瞬で 私の夏になった 圧倒的な存在感 阿蘇 古の地球の躍動 阿蘇 緩やかに連なる緑の曲線と 所どころ鋭く走る稜線は 雲のベールでより神秘的に 空は 荘厳な大地の生き様に ひれ伏すように山々を覆う ぐるりと360度見渡す私の中に 大地と空が…

「夏を探して」

まぶしい陽射しに 片目をつむり 勢いを増してきた初夏の兆しを全身に浴びる 先ほどまで 緊張と不安の時間の中に居たせいか 光の恩恵を受け入れられず 力の入ったままの私 駐車場への道すがら 偶然みつけた日陰の小道 病棟が光を遮り ひんやりとした空気に包…