春
どこからか ピアノの調べ 家を出るまでの 慌ただしさが 嘘のように静まる 心ごと傾けると 鳥の声も鮮やかに聞こえ 水の流れも際立って聞こえる 誰かに聴かせるためでもなく その人にとっては 朝の日課の一つに過ぎない 気づかずに通り過ぎる 流れる音や色 受…
雨が上がると 庭が動く 葉に並ぶ雨粒に 空が動く 潤った香りをあげ 地が動く 春時雨に 緑が動く 希望が芽生え 私が動く 【20220518】
桜が歌い 桜が舞い 心に淡く 次の春への希望となる 見上げていた 薄桃色が 周りの木々の緑に溶け込むころ 庭で 足元の小さな花々が 歌い出す 土の近くで 首を伸ばし 精一杯に 光を受けとり じっと動かず 萌えて私に 希望の種を 一つ落とす 【20230403】
桜が春に 私たちを招き入れる 待たせたねーと 春に招き入れる 春爛漫 桜爛漫 花びらの渦が 春の渦を起こす 心踊る束の間の はる さくら やがて 風を起こして 花びらをはらはらと 名残惜しそうに 見上げる私たちに 初夏の魔法をかける 散る花びらも 眩しい葉…
一人になりたい時もある 一人ぼっちになっちゃう事もある きれいな空が やけに心に刺さり 感傷に耽る時がある そんな思春期の心を 一人にさせたくない時がある 電柱にでも 塀にでも 梅の木にでも なって 揺らぐ心の隅っこに ちらちら映る 風景でいたい あな…
私の内には福がある 私の中には鬼もある 福を育てたいと 明日を望み 鬼が悪さをしないよう 今日を過ごす どちらも 私の中に 生きていて 顔を出したり 引っ込めたり 福がなければ心は砂漠化 鬼がなければ危機感なさすぎ 福だけでも物足りず 鬼だけでも殺伐と…
年が明け わずかに春の気配漂い あの生温かな空気を 安易に予想できる時節に 季節は大寒 天の移ろいはまだ暦に沿っていて 外は寒中 息は白く凍えて 春待ち遠しと空を見上げても 今日は降り頻る雪に視界を奪われ 一気に遠くなってしまった春を 背中を丸くして…
木の枝がとん と揺れて小鳥が弾んだ もうすぐ春だと木の枝は感づく 私の肩にとん と触れて見えない誰かが合図する そうか今か と私は信じて 小鳥の真似をしてみる とん と小さく 跳ねてみる どん と地面からの衝撃で 体の小さなとこまで弾けた力が行き渡り …
桜の花が咲き誇り 新しい生活に 希望の色を散りばめる 一人その姿を見送る側は なんだか遠くのことのように 世界を分けられた気がする 勝手に流れる涙を 拭うこともせず 口角だけを少し上げてみる 「でっかい船が浮かんだり、 飛行機が飛んだり、 長い橋を架…