詩集「言の葉の舟」

家族と自然と人の心を愛する心筆家のブログ詩集

言の葉の章

「春より早く」◇中国新聞 詩壇 掲載◇

春に命を繋ぐ 冬籠りの季節に 二度と目覚めない 連れ合いを見送る義母(はは)の姿 別れは突然で さよならもありがとうも 天に立ち昇る煙に追いつかず ぽっかり空いた寂しさを 何で埋めればいいかもわからず 涙が雪に変わり 思い出の上に白く降り積もる 春は…

「未完成の先に」

伝えたい 想いや景色 言葉を選び 言葉を置き換える どこまで表現すればよいのか 分からなくなり また元に戻したり… ほんとのところは 私の言葉では伝えられない 受け取って 感じた先に あなたの言葉になる だから 未完成でも言葉を並べる あなたの心の先に …

「なくならない」

0歳 永遠の命を無くした 8歳 父を亡くした 18 歳 夢を無くした 28 歳 私を忘れた 38 歳 私らしさを失った 48 歳 自信を無くした まだまだ無くしたものは わずか 58 歳 思い描く未来を無くすかも 68 歳 自由を無くすかも 78 歳 してあげたい気持ちを無くすか…

「福は内 鬼も内」

私の内には福がある 私の中には鬼もある 福を育てたいと 明日を望み 鬼が悪さをしないよう 今日を過ごす どちらも 私の中に 生きていて 顔を出したり 引っ込めたり 福がなければ心は砂漠化 鬼がなければ危機感なさすぎ 福だけでも物足りず 鬼だけでも殺伐と…

「しないとね」

休まないと 凹まないと 転げないと 挽回する力も 起き上がる力も 鍛えられないからね 今 しないとね 【20210108】

「閉塞成冬(そらさむくふゆとなる)」

冬ざれ 寒さに縮こまる だけどその寒さの中でしか見れない景色がある 心が寒々と風に吹かれても その時にしか聞こえない 心音(こころね)がある 寒空に立ち 凍えそうになっても 勇気のボタンを締め 希望の襟を立て 瞳の中に 輝きを閉じ込める 見たい景色と …

「点と線」

結果を求めすぎて それもプラスの結果を求めすぎて 私たちは動けなくなったり 本来の姿を見失ったりする そんな自分の状況さえも わからなくなるほど 迷走している時間が長くなると うまくいかないことは 伝染する様に大きくなって行く 点と点と点が ずっと…

「バイバイ」

いろいろあるよね いろいろあるさ それでいいんよ いいんよそれで 心と身体を 重苦しく縛っていた鎖が切れたなら 軽やかに行こう 【20221105】

「親離れ 子離れ」

近くにいて 遠くに思い 遠くにいて 近くに思う それは 子離れの予行演習 それは 親離れの実践演習 それは 親子の絆を結ぶ しあわせの練習 【20221030】

「それも いいね」

自分のために生きるって 自分のために走るって 自分のために歌うって 自分のために涙するって いいね いいね いいね それも いいね 【20221014】

「いいね」

誰かのために生きるって 誰かのために走るって 誰かのために歌うって 誰かのために涙するって いいね いいね いいね いいもんだね 【20221013】

「見えないもの」

傍から見て もったいないと思うほどのものを 手放した友人がいたら 残念に思わずに おめでとうと言おう きっと 何よりも守りたい 大切なものを 手に入れた証だから 【20221004】

「触れられないもの」

天 感じるもの 人 慮るもの 命 愛するもの 手に触れることができないものは 心が 下支えする 【20221002】

「収まりきらない」

何でも 自分の中に取り込もうとする 手に入れて 大きくなった気がするけど 到底 収まりきらない 果てしなく偉大なものに 圧倒された時 本当に 大きくなれるのだと思う 【20220930】

「実り」

実が色づき始めると 葉が落ちる 自然の愛情の 深さと潔さを知る 【20200930】

「私のための」

もしも あなたを 傷つけているなら 同じように 私自身も傷つけて 傷ついてるから こんなにも 心が痛む 自分を癒すための 私のための あなたへの優しさじゃ ダメなのかなぁ 【20220911】