言の葉の舟 四海を行く

家族と自然と人の心を愛する心筆家のブログ

「愛された記憶」

愛されたことを覚えてて欲しい 眠りにつくまで 撫でたこと 抱き抱えて 背中をトントンしたこと 上瞼が もう我慢できないくらいに 重たくなって 全身の重みが こちらによりかかり その姿を見る私が どんなに幸せだったか… 小さな寝息と共に あなたに愛が沈殿…

「微動を感じて」

目の前で 呼吸している命に 何の違いがありますか? 声をかけると 瞳が動き 微動する空気の振動だけで 世界が息づいていると感じられる その存在に 何の違いがあるのでしょう 大人が 大きく動けば 大きく話せば 微動は雑音に霞んで消える 今日も 静かに 静か…

「夕刻の憂鬱と余韻」

広々としたスーパーの駐車場 空が大きく見える場所に車を止める サイドブレーキを荒々しくかけ ハンドルに顔をうずめる うまく伝えられなかったあの言葉や 思い通りに表現できなかった想いの燃えカスが 体の疲れに覆いかぶさり 夕暮れの空気はいつもより重い…

「泣きたいのはママの方だよ」

夕方のスーパー ぐずる我が子にイライラして なだめたり すかしたり それも長くは続けられるわけもなく 堰を切ったように 言葉が出ちゃう もうママは知りません もう置いて帰ります ママーー ママーーー と泣き叫ぶ声が どんどん大きく響いて 困惑とやるせな…

追憶「手」 

あぜ道を散歩する すれ違いざま 耳の不自由なお母さんへの心無い声 聞こえるはずがないのに うつむく小さなあなたの手は 強く握られた母の手に 守られた 美容の道 五十年 ひたすら行く 手に職が宿り 人生をつくった 鏡に映る目の前の人の人生を癒し 華やぎを…

「静かな土」

清々しく 迷いもためらいもなく すっくと立つ竹の青さ 堂々と力強く残る 成長の刻印 どんな出会いも出来事も 善し悪しの眼鏡でみればモノクロ写真 目の前の景色を美しい目で見渡せば 限りなく深く燃ゆる緑のきらめき 心躍る喜びは しなやかさを味方につけ 苦…

「土用干し」

白白と明けるころ 目が覚めて 縁側の朝戸風に 梅を干す 夫と挨拶し合い また微睡む 日差しが入り 起き上がり 昨夜の残り物で 一食目を済ませ のろのろと洗濯を外に出す 日盛り ごろごろとまた夢に浸り よく寝るなと 目線の高さが同じあなた 風に吹かれて 光…

「夏のお昼ごはん」

ギラギラおてんとさんに さんさんひかりを分けてもらった ピッカピカの夏野菜を タラタラ汗のあなたが収穫 ザッブザブ洗って フライパンに放り込めば 相性のよい油が パチパチと拍手で迎えてくれる シャカシャカ混ぜた甘酢に ダイブさせたら さっぱり味がし…

「鳴かず飛ばず」

青く 青く 夏ドーム 刹那に 刹那に 蝉時雨 共鳴し 共鳴し 耳鳴りに似た 輝きの乱反射が 白く 白く めまいを誘う 命短し 煌めきの朝 私は今日も 鳴かずにいる 飛ぶのはいつだ 【20210720】

「白い器」

白と 一口に言っても 百通りを超える いろいろ想像できるはず なのに 夫婦って関係は わかっているようで 貧相な想像力でわかっちゃいない 笑いが出る ある日の会話 「白い器で統一したいね」 いいね 二つ返事で同意 「必要ないもの棚から出そうか」 いいね …

「よわむし」

自分は何ができるんだろ自分はどこへ行きたいんだろう とても長い時間迷子になっていると思ってた 自分探しで迷子になってると思ってた 一本道を歩いているのに 自分は探さなくて いいよ追いかけっこも やめにしよ 私は 自分の布石を 確認したい ただの 弱虫…

「雨の日は傘をさして」

ぽつぽつ 雨が降っています お天気も 晴れがあって 曇りがあって 雨がある 私たちの人生にだって 晴れの日もあれば 曇りの日もあって 当然 雨の日もある 晴れの日なんて、なかった、、 なんて思っても それは 当たり前すぎて 気づかなかっただけ そして 雨の…

「へその緒からのバトン」

へその緒が 切れたあの日から 私たち 親子になったんだね ゴールテープを切るように 始まったんだよ 二人三脚 腕を組んで 倒れそうになる足元を 気遣いながら 急カーブでは 歩調を合わせ 周りを行く親子に 焦ったり 笑いあったり 助けたり 助けられたり そし…

「植え替え」

土が変わり 場所が変わり 根を張る広さと 光の具合が違えば まだまだ 咲けるのかもしれない 咲かせたい 咲きたい 自分の足元から 力を吸い上げ 咲け 【20210708】

「今日の夏色」

青空に立ち上る 真っ白な雲の峰 金色の太陽を受け 熱く咲く黄色の向日葵 鮮やかに緑で 思い出した様に吹く風に 流れを合わせる稲の群れ 笑顔と同じ スイカ色 玉のように流れる汗を滑らす 小麦色に焼けた肌 絵日記に残したような 夏の色彩が 事実であったか …

「言の葉の泉」

潤沢に 溢れてきやしないのに 枯渇する恐怖を感じている なんと 傲慢な私 湧き出る言の葉は 水のように循環するのに 【20220410】

「眠れない夜に」

眠れない そんな夜には 詩を書こう 布団の上で眠気がやってくるのを 待つ時間は 悶々と時間ばかり過ぎているようで ほんとうは全く経っていない 時間の呪縛 どんな話を書こうかなどと 考えることはない ただ ノートと万年筆で 出てくるインクの好き勝手に ペ…

「白いシャツとアイロン」

手を動かす 暑い日も寒い日も 白い布の上を 尖った先を縫い目の角に向けて よれもなく ついた皺を伸ばす 生活に根差した家電はいくつもあり なくてはならないものだけど 大型家電は なんだか住居の一部のような気がする 極々身近なアイロンは 私の手の延長 …

「お母さんは魔法使い」

うちの子は そろそろ気づいてる? お母さんは魔法使いだってこと できないと思っていることに ちちんぷい 諦めかけちゃってることに ちちんぷいぷい あふれ出た涙にも ちちんぷいのぷいっ 魔法の言葉を かければ 見える世界が変わって そしたら 不思議と目の…

「七夕の日に願うこと」

かささぎの翼が運ぶ 織姫と彦星の想いが届ける 伝説が言い伝わり 天の川にロマンを渡す 人の心が美しくつながり 七夕の物語を紡ぐ 誰の願いも チャンスの翼で羽ばたき 想いを深く結ぶ 誰かと以心伝心 思いがけない渡し舟に乗り 純粋さの灯台が照らす道は絶え…

「月の小舟」

まだ薄青い天空を 霞のような三日月がゆく 太陽が山肌に触れる鐘の合図で 黄金色の波が放たれ しばらく眩しさが時を支配する その光の弧が遠くで一点になると 辺りはまた静かな色が頭上に渉る まだぼんやりと漕ぎ続ける小舟は 緩やかな波に運ばれる やがて白…

「大地と空と私」

目の前の景色は 一瞬で 私の夏になった 圧倒的な存在感 阿蘇 古の地球の躍動 阿蘇 緩やかに連なる緑の曲線と 所どころ鋭く走る稜線は 雲のベールでより神秘的に 空は 荘厳な大地の生き様に ひれ伏すように山々を覆う ぐるりと360度見渡す私の中に 大地と空が…

「言葉一つ」

言葉を並べるこの営みが 自分を充足するものでなく 誰かの 押し殺した聲の形を 誰かの 浮遊してしまった心の糸屑を 無きものとせず その人のかけがえのない 一部だと 光になる 営みでありたい 一つでも 一つでも 結びつき 言葉よ あなたの光と 一つになれ 【…

「手当て」

膝がね 痛くなって 歩けなくなって 突然街の階段に座り込んで 病院に行ったらね 症状聞かれて 検査して 治療して 車いすや松葉づえのお世話になってね 誰かの助けをかりて 優しい声をかけてもらって もっと優しさを求めて 痛い 痛いと ずっと撫でてる私がい…

「やる気なし子の朝」

ここの愛犬 心白です家の人が行っては帰る玄関近くの柵の中この場所がお気に入り にいさんはイヤホンつけてリュックを背負って唯一私に声をかけずに静かに行く人でした今は年に十日くらい顔を見ます 私をサンタクロースとか言うおじさんにお願いしたちっさい…

「夏を探して」

まぶしい陽射しに 片目をつむり 勢いを増してきた初夏の兆しを全身に浴びる 先ほどまで 緊張と不安の時間の中に居たせいか 光の恩恵を受け入れられず 力の入ったままの私 駐車場への道すがら 偶然みつけた日陰の小道 病棟が光を遮り ひんやりとした空気に包…

「せいちょうの花」

天から舞い降りた 光の粒一瞬のうちに 忘れ得ぬ喜びの空気に記憶した金木犀の香り漂う季節小さな命の輝きはその存在自体が一生懸命太陽に照らされる 鏡の背中雨降りの後の水たまりも草花に水をやる大きなジョロも時間を忘れて見入ったありの行列や セミの衣…

「梅雨の色どり」

目が覚めて カーテンの隙間に目をやると届く光の薄さに 空模様が想像できる耳に届くテレビの予報は私の中にぽつぽつと憂鬱を降らし心模様も傘マークハンガーに揺れる 華やか色に気後れしお気に入りから二番目の服を着て灰色の空の下に飛び石の周りの紫陽花は…

「ただ一つできること」

悩みを背負ったまま出ていった子が 低くただいまと帰ってくる 野菜を切る手を止めて おかえりと返すと ト ト ト と 階段の鳴る音 その音で まだ心が晴れないことが すぐわかる 母だから 鍋の蓋がカタカタ 私の何もできない 無力さが鳴る 母だけど 野菜をまた…

「朝取れ野菜」

青い時にはちくちくと 朝取りの夏野菜 きゅうりも茄子も 枯れて萎れた 花の名残を 微妙にひっつけて 柔らかい産毛と一緒に ちくちくのとげが 新鮮さを見せつける 太陽からもらった力を たっぷり抱えて みずみずしく 我が家育ちの子どもらも 少しちくちくぐら…