詩集「言の葉の舟」

家族と自然と人の心を愛する心筆家のブログ詩集

「梅雨の色どり」

 

目が覚めて カーテンの隙間に目をやると
届く光の薄さに 空模様が想像できる

耳に届くテレビの予報は
私の中にぽつぽつと憂鬱を降らし
心模様も傘マーク

ハンガーに揺れる 華やか色に気後れし
お気に入りから二番目の服を着て
灰色の空の下に

飛び石の周りの紫陽花は 雨粒を仲間に 
美しい柔らか色のかたまりに

あまりにも雨にお似合いで
今日は私の背中を押してはくれない

足先に力を入れて
傘の真ん中に 小さく歩く

門の扉を閉めながら
もう一度紫陽花に目をやると
傘にうずくまった
幼い我が子の姿を ふと思い出す

その黄色い長靴のまあるい先が
少しだけ私の気持ちに明るい線を引く

その線を軸に 勢いをつけて向き直り
服についた雨と憂鬱を振り払う

傘の端から空を見上げ
少し強く大きく歩幅を開き
よし! と
明るい色を私の中でいっぱいにした



【20180625】