言の葉の舟 四海を行く

家族と自然と人の心を愛する心筆家のブログ詩集

「詩人の生家-見える景色と見る景色」

 

たいした悩みは無い

躓くことも立ち上がることも

案外平気

ただこの道の先に

心震える景色があるか

見定めたくなる

 

詩人 永瀬清子の生家を訪れた

 

ひんやりとした釜屋では

薪をくめ 水をくみ 木綿の擦れる

古き生活の音を想像する

 

心の温度が波長を合わせて静か

 

そこから一歩二歩 踏み進めば

眩しく斜めに入る光の矢印が

私の立つ場所を指した

 

清爽な皐月の青さ

 

目の前に

すくっと立った榧の木に

たっぷりの陽が注ぎ

歩幅に合わせた踏み石が続く

 

見える景色に

思わず飛び出したくなるが

ここは 詩人の家

言葉と共に

もっと深いところで景色を見ていたい

 

しばらくすると

動こうとしない私の中で

空気が動く

 

じわっと種火が赤みを増し

開かれた扉から

風が息を吹きかけ

衝動が燃えはじめる

 

ここから どこに行こうか…

 

情熱に座り直して

今の自分の

言葉を探した

 

 

 

【20220430】