詩集「言の葉の舟」

家族と自然と人の心を愛する心筆家のブログ詩集

「柿の木の日常」

 

一歩も動かない柿の木に


苔がむす

緑の模様を自由にまとわせ


木肌の割れ目の小さな蟻には

仕事場を与え


蜘蛛には

枝から枝へと間借りさせ


日陰を作った下草には

蝉の抜け殻 静かに眠らせる


いろんな命に触れて

いろんな命を支えて

 

黙って

 

黙って

 

そこに立つ

 

柿の木の日常は

豊かに過ぎる

 

【20210803】