日曜日の夕暮れ
廊下の奥まで届くオレンジ色の光
笑い声をのせて
靴を磨きながらの親子の睦ましい時間
父と娘の日常は
こんな風景ばかりじゃない
言い争いも 冷戦も
父の雷も
娘の涙も 反抗も
目まぐるしい
それでも父の存在は
空のように
娘の遠景にある
朝の静けさを包み
街のざわめきに霞み
夜のしじまに溶け込む
花を咲かせ 青々とした緑の背景にも
雨に濡れるビルや
荒れ果てた荒野の後ろにも
目に映るどんな景色にも
空は立つ
父も同じ
遠くを見れば そこにあり
距離をとり
大きく
子どもたちの後ろに立つ
喜びと迷いと 少しの切なさと
戸惑いながら親子の景色を織りなす
父は空
どんな時も
疑いもしない
当たり前の姿で
そこに立つ
空のように
そこに立つ
【20110812】