眠りに落ちる
その瞬間を包む
肌布団ピンク
毎夜毎夜包まれて
端が擦り切れて
取り替えた
ブルーの肌布団も
呼び名はピンク
暗闇に吸い込まれるような
まどろみの時間が
幼な子には
少し緊張の時
怖さや心細さを
和らげてくれたピンク
大人になれば
そんな小さな夜のおっかなさも
記憶から消えていく
包まれて
守られた
記憶はどこかに置き去り
あの頃のピンクを握りしめた
小さな手は 大きくなって
自分がそんな小さかったことも
臆病だったことも
忘れてしまう
その小さな手が
ふわふわとピンクを撫でる
光景が
今は私を包む
小さな手が
覚えているものは
多くはないが
その小さな手を
握っていた私の記憶は
より鮮明に
ピンクが増す
子の独り立ち
思い出に生きる季節が
始まる
【20211011】