私は野の草だった
花を咲かせるのかも
咲かせないのかも
わからない
ただ
咲きたいと思う
野の草だった
なんの花でもよかった
咲きたいと願った
ある日
一人の詩人が
私を
詩の花壇に植え替えた
そこは言葉の土壌がふかふかで
雨や雷さえも心地よい
燦々と
時は紙を埋めていき
私の細胞を
奮い立たせ
成長点を刺激する
私は野の草なのだ
ただ 咲きたいと夢見た草なのだ
私はつぽみをつけて
詩人に
咲いた花を見せたい
草なのだ
どんな花でも咲かせる
草なのだ
【20220920】