詩集「言の葉の舟」

家族と自然と人の心を愛する心筆家のブログ詩集

「証」

 

秋の扉が開き

木々が錦を飾り

山が賑わう朝

 

今年も

土に

白い椿 一輪

 

同じ季節に

一人灯火を消した友の面影を

鮮明に映す汚れなき白

 

早すぎるその時は

名残惜しそうに

まだ瑞々しい白

 

この世の役目を終え

一息ついた様にも見え

魂のままになった透き通る白

 

冷たい土の上に

白 一輪

 

散る山茶花より

落ちた椿の哀しさ

 

土色に

浮き立つように

 

人生 丸ごと

残していく

 

 

 

【20221019】