街の音がない
朝の時間
いってらっしゃいの言葉で送り
空を見上げる
明け出る
光の兆し
裏山の巣から
囀りの響き
どこからか漂う
わずかな金木犀の残り香
見えないけれど
そこにある新月
見えない物から発する
透き通る気配が
攪拌されている私の中の
濁った浮遊物を
沈殿させ
静まる音がする
しんと鎮まる
静寂の音がする
五感をくすぐる気配が
私の中に積もり
白く積もった
雪の上を行くように
静かな時間の
足跡を残していく
【20221024】