言の葉の舟 四海を行く

家族と自然と人の心を愛する心筆家のブログ詩集

「オレンジ色の栞」

 

光の束が

西に傾いた夕陽から届く

 

教室も

向かい合った顔にも

机に広げられた

教科書のページの間にも

 

オレンジの瑞々しい粒のような

光が行き渡る

 

明るく照らされた友達の顔を

互いに見ながら

誰からともなく

廊下へ

 

この空気を生む方に向き

遠くを見ると

さらにオレンジ色は厚く

笑顔は深くなる

 

夕焼けに並んだ

子ども以上 大人未満のシルエットは

危うさや迷いを光に溶かし

なんだか

クッキリと強く大きく見えた

 

並んだ笑顔が

声を揃えたこの時間が

過ぎた時間の中の

美しい1コマで

 

ふと思い返した時

背中を押してくれる

1ページになればよい

 

未来を始める

オレンジ色の栞を

心に挟んで

 

 

 

【20211222】