2022-12-05 「母のコート」 ブログ詩集 『白い器』 冬 詩 木枯らしの足音が 聞こえる季節 いつも手に取る古いコート 父が母に残した冬の思い出 時代の匂いや 苦労が染みついた繊維 陰陽の日々が語る色の抜けた黒 それでも手触りは滑らかで 初めて手にした母の喜びは 内ポケットの中に潜んでいるみたい 柔らかい生地に手を通すと 父と母の思い出に包まれる 母が私に残した冬の温かさ 袖を通し 今年も 思い出を着る 【20191107】