言の葉の舟 四海を行く

家族と自然と人の心を愛する心筆家のブログ

「鳴き雪の気配」

 

動かない
何も動かない
乱れない

澄み渡る天と
きめ細やかな雲の平原
雪のよう

飛行機からの景色は
半分白で半分青
どこまでも白く遠い空の大地は

枝一本も落ちておらず
獣の足跡一つ見えない
遠くに想像してみた
枯れ木の大木も
すぐにかき消される

あなたは
どこまでいくのか
この純白の平原を
一点の汚れもないこの空を

美しいが故に
不安になったかもしれない
光の中故に
振り返ることもせず真っ直ぐに
逝ってしまったのかもしれない

天に続くこの雲には
何も残していけないけれど
逝った人が
ふりかえって私の方を
見た様な気がした

笑い声や
身振り手振りや
口癖や
最後に手を振った心の中も

見えなくとも
確かな存在と生きた証を
しっかりと踏み締めた足音が
聞こえたような気がした

この雲の平原と同じくらい
静かで美しい積雪に沈む
鳴き雪の音のように
清らかに

半分白で半分青

私の視界が
泣きの涙で
しばらく曇った

 

 

 

【20221220】