春に命を繋ぐ 冬籠りの季節に
二度と目覚めない
連れ合いを見送る義母(はは)の姿
別れは突然で
さよならもありがとうも
天に立ち昇る煙に追いつかず
ぽっかり空いた寂しさを
何で埋めればいいかもわからず
涙が雪に変わり
思い出の上に白く降り積もる
春はまだまだ遠いけど
もう 暖かい場所にきっと居る… とつぶやきながら
まがった腰を伸ばして 遠くを見る
ほんの僅かに春を望み
冬籠りの季節を忍ぶ
思い出話の花を咲かせる春よ
季節より先に
早く 来い
桜色に頬染めて 再び微笑む一時の春よ
義母(はは)の背中に
早く 来い
【20221213】
七十二侯「熊蟄穴(くまあなにこもる)」