言の葉の舟 四海を行く

家族と自然と人の心を愛する心筆家のブログ詩集

「啐啄の時」

 

見えている 時の音

聞こえている 世界の広がり

 

扉の向こうで 息をのみ

昨日までの自分に 言葉で挑む

大きくなる鼓動に

揺らぎが 後ろで聞こえる

 

包みたい その迷い

緩めたい  笑顔の口元

 

進みたい心は 扉をたたき

光のさす方向を 開かぬ目で追い

めくるめく不安に

前に踏み出る 言葉を探す

 

待つ時間

じっと待つ時間・・・

 

輝きの先に 大きく扉を開き

小さな部屋を 背中で手放す

香り立つ勇気が

あなたの声を追い越していく

 

決め心のくちばしが

親の瞳に映る 啐啄の時 

啐の音に 明日への命が宿り

啄の音に 昨日までの愛が宿る

 

生れ出た殻の割れ目に

希望の鐘が鳴り響き

閉じられる扉の小さな音に

光がはじけた

 

 

【20161105】