言の葉の舟 四海を行く

家族と自然と人の心を愛する心筆家のブログ詩集

「夏は嫌いだ」

 

熱く

夏は何もかもが熱く

 

煌めく

暑さは誰もを煌めかせる

 

そう見える

そう見える

 

たった一人で

息苦しくなる時は

季節なんて鬱陶しいだけで

太陽なんて

上がるか下がるか

どちらかにして欲しいと

何もかも面倒になる

 

一人蒸された部屋の中で

夏が夏らしく

じりじりと時を焦らすように

外の世界はゆっくり

スローモーションの思い出を作る

 

そう感じる

そう感じる

 

何もかも暑さに溶けてしまえば

自分だけのどうしようもできない

このこころも体も

溶けて

自分以外の世界と一緒になれるのに

 

逃げたい

逃げたい

 

だけど

そうはできない

 

外界の熱さとも煌めきとも

どこか違う

いや根本的に違いを

見せつけさせられる

 

今の自分を

無駄にただ時間が流れていく間を

身を任せることもできず

 

…夏は終わるのか

誰も何も

夏の思い出など 体験など 成長など

 

求めないで

求めないで

 

季節が

夏が

勝手に巡っていくだけなんだから

 

熱く煌く景色は

消えてしまいたい

命だけを青白く浮き立たせる

 

その青白さが

怖くて

怖くて

今のどの季節も

嫌いだ

 

 

 

【20230814】